2026年を目処に約束手形が利用廃止へ

本日の日本経済新聞朝刊に、経済産業省が2026年を目処に約束手形の利用廃止を目指す方針である旨の記載がありました。

記事にもあるように、約束手形は支払期日の先延ばしという意味で、古くから手元資金に余裕のない支払い側の企業の資金繰りを助ける側面があったのも事実だと思います。

一方で、手形の受け取り側からすると資金化に時間がかかるという大きなマイナスの影響があり、特に手形の受け取り側に立つことの多い中小企業にとって資金繰りが困窮する一因となっているのも事実です。

現状では、支払い期日が最長で120日まで認められていますので、手形を受け取った企業は長い場合は4ヶ月先まで手形を現金化できず、非常に資金繰りが苦しい状況となります。

そのため、手形を割り引く、つまり金融機関に期日が到来する前の手形を持ち込み、数%の利息手数料を支払って期日前に現金化することで耐え忍ぶ。

しかし、ただでさえ利幅の少ない取引から、数%の利息手数料の支払いを行うのですから、会社の手元資金が思うように増えていかないのは当然でしょう。

手形取引自体は近年大きく減少傾向にありますが、それでもこの手形の割引でなんとか資金をやりくりしている会社を、私もこれまで企業再生の現場や中小企業経営者の相談対応を含めて何十社、何百社と見てきました。

今回の約束手形の廃止は早期の資金獲得という点で、特に中小企業の資金繰りの改善に一定の効果はあると思います。

また、昨年からニュースになっているとおり、政府は2024年を目処に手形の支払期日を現行の最大120日から60日に短縮する方針を打ち出しています。

まずは支払期日を短くしたうえで、その後に廃止という段階的な対応を取ることで、支払い側の資金的な負担にも配慮したものと思われます。

なお、資金ショートによる将来的な倒産等の発生の確率を引き下げるために、私は予測資金繰り表の作成をオススメしています。こちらの投稿「資金繰り表のフォーマットはカスタマイズして使うべし!」もよろしければ参考にされてみてください。