金融機関からの借入はゼロを目指すべきか

先日、中小企業の社長様から、「5年以内には金融機関からの借入ゼロを目指したい」という相談を受けました。

確かに無借金経営という響きは心地良い気がしますし、返済や利息支払いからの解放は社長のストレス減少に繋がるのかもしれません。

しかし一方で、中小企業は大企業に比べて純資産が希薄で、現預金も少額というケースが一般的です。

無理な借入返済を行った結果、会社の現預金に余裕がなくなった場合にどのような事態が起こりうるか。

仮にそのような状態でリーマン・ショックや東日本大震災のような外部環境の変化が生じ、会社の業績が大きく悪化した場合、それまで業績がいかに好調だったとしても、現預金がゼロになると会社は倒産してしまいます。

会社は利益がマイナスでも、借入過多でも、それだけでは倒産しません。

倒産するのは「現預金が無くなったとき」です。

近年は、政策的な面からも低金利で融資が受けやすい環境といえます。

外部環境の変化時に慌てないためにも、利息の支払いを倒産防止の保険料と考え、無理な返済による借入ゼロはあえて目指さないということも検討されてはいかがでしょうか。