外部環境の悪化による倒産を回避する方法

ご存知のとおり、在宅勤務の実施やイベントの中止・延期、宿泊および飲食予約のキャンセルなど、新型コロナウイルスの影響が経済面にも出始めています。

私は2011年の東日本大震災の直後に勤めていた会社を辞めて独立し、その後しばらくは主に企業再生の仕事を行っていました。
ですので、様々な要因で会社が立ち行かなくなる、このままでは今月末にも倒産してしまうというような会社の状況を目の当たりにしてきました。

企業内部の要因に基づく業績の悪化は、自社努力や専門家の助言によりある程度コントロールすることができます。
しかし、リーマンショックや東日本大震災、そして今回の新型コロナウイルスなどに起因する外部環境の悪化は、会社の意思ではコントロールできません。
これまで順調に事業を存続・拡大してきたのに、ある日突然取引量が激減し、気づいたら資金が枯渇する寸前である。。。

特に中小零細企業は、上場企業に比べて現預金の保有額や純資産の規模が小さいため、一度の外部環境の悪化がそのまま企業の存続の可否に繋がってきます。

「突然襲ってくる外部環境の悪化は避けられない。しかし、会社の倒産は避けなければならない。」

企業再生での経験から、私が顧問先として関与してきた中小企業の経営者様には、どうすれば倒産の確率を下げることができるかを繰り返し伝えてきました。
・現預金に余裕ができても、なるべく繰り上げ返済を行わない(行う場合は、どの程度の金額にする予定か必ず事前に相談してほしい)
・在庫は過剰に抱え込まない
・営業担当者には、受注だけではなく必ず資金の回収までを意識させる
・「資金の回収は早く、支払いは遅く」を意識する

・無駄なコストを削減する(削減には順序がある)

上記やその他のポイントを、会社の事業内容や財務状況、組織風土などを考慮のうえ、会社ごとに数字を用いて個別具体的に助言してきました。

私はセミナーでも何度も話していますが、経営者の一番の使命は「会社を存続させること」だと考えています。

そして、会社が潰れてしまうのは、現預金が底をつきたときです。

倒産確率をゼロにはできません。しかし、下げることはできます。

今回の新型コロナウイルスに起因して、すでに取引や業績に影響が出始めている会社やこれから影響が出始めるという会社も多いと思います。
一方で、国や金融機関、市区町村などからは、新たな低利融資や助成金の話が出てきています。

立ち止まっている場合ではありません。

いま目の前にある材料や情報で、会社存続のためにどのような手段をとることができるか。
こういう状況でこそ、経営者としての力量が試されます。

こんなことで負けない会社に!