本日3月11日の日本経済新聞朝刊にも掲載があるように、昨日「中小企業の事業承継の促進のための中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案(中小企業成長促進法案)」が閣議決定されたようです。
詳細は経済産業省のHPに記載がありますが、特に大きなポイントは経営者保証の解除支援でしょう。
私はこれまで事業承継支援を50社以上行い、現在も東京商工会議所ビジネスサポートデスクの窓口相談員および専門家として支援を行っています。
その際によくあるのが、以下のような会話です。
経営者:「すでに後継者は長男に決めており、本人からの同意も得ています」
私:「それは良かったです。ちなみに、会社の金融機関借入について、現在の借入金額や後継者が連帯保証人の地位を引き継ぐ可能性が高いことは話されましたか?」
経営者:「いえ、そこまでは伝えていません。うちの会社はちゃんと利益も出てるし、借入返済もスケジュール通りにしてきてますから。それが原因で後継者になることを断られる心配はないでしょう」
私:「社長、あとで事業承継のトラブルが起きないよう、なるべく早く伝えることをオススメします。」
後継者の立場で考えてみてください。
「自社には、実は数千万円あるいは数億円の借入金があり、自分が後継者になった場合は莫大な借入金の連帯保証人になることが求められる。。。自分には家族があり、まだ子供も小さく、家族にまで迷惑がかかるんじゃないのか。しかも、会社経営なんてやったことないのに、本当にそんな額の借入金を返済できるのか。。。」
その結果、代表者交代の直前になって後継予定者から断られるというケースも現実にあるのです。
今回の法案は、そんな経営者保証を信用保証協会が肩代わりすることで、事業承継時に後継者の保証が不要となる制度です。
後継者不足の一つの理由が経営者保証の引き継ぎであったことを考慮すると、本法案は事業承継の問題を解消する一つのきっかけになるかもしれません。
本法案は本年秋頃の施行を目指すようです。