最新IFRS適用状況(2021年6月末)

9月8日に東証から「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の分析資料が公表されましたので、2021年6月末時点のIFRS適用状況を本年もまとめてみました。

まず、2014年6月末以降のIFRS適用会社数(適用決定会社及び適用予定会社を含む)の推移は、以下の通りになります(東証HPより筆者作成)

2021年6月末のIFRS適用会社数(適用決定会社及び適用予定会社を含む)は243社となりました。

2015年から2019年までは毎年30社前後のペースで増加していましたが、2020年、2021年はいずれも9社の増加に留まったことになります。

昨年の最新IFRS適用状況の投稿で、「現時点でもまだコロナの影響は残っていることを考慮すると、2021年6月末の適用会社数もこれまでの増加水準にまでは回復しないだろう」と記載していましたが、概ね想定通りに落ち着いたというところでしょうか。

首都圏では本年の大半が緊急事態宣言下にあり、リモートワーク中心ではIFRS導入のような大規模なプロジェクトを進めることが難しい、あるいは強制適用ではないIFRSの導入は、いったん優先順位を下げているということもあるだろうと個人的には考えています。

次に、2021年6月末時点のIFRS適用会社243社を業種別にグラフ化したものが以下になります(東証HPより筆者作成。棒グラフが適用社数(左軸)、折れ線グラフが各業種内の母集団に占める適用会社の割合(右軸)を示している)。

適用業種は33業種中27業種と、前年に比べて水産・農林業の1業種が増えています。業種間で会社数に偏りが見られるのはこれまでと同様ですね。

情報・通信業やサービス業、電気機器で適用会社が多い一方で、銀行業や建設業、海運業などは未だ1社も適用がありません。特に、母集団が少ないとはいえ、在外子会社も多い海運業に適用がないのはやや意外。。。

また、各業種内の母集団に占める適用会社の割合を示した折れ線グラフを見ると、医薬品とゴム製品がいずれも26%となり、およそ4社に1社が適用している状況です。次いで、空運業が20%で続きます。

適用実績から見ると、2021年6月末までの1年間は上記のような傾向が見られました。

最後に、今回もIFRS導入支援を行っている私の立場から少し触れておくと、今後2022年6月にかけても適用社数の増加ペースは、この一年と大きく変わらないのではないかと考えています。あっても微増くらいでしょうか。

そして、以前のように従業員が毎日出勤して仕事を行うという状況には戻らないでしょう(あえて戻る必要もないと思いますし、戻らなくて良い体制をつくることが求められると思います)。

実際に私もリモートワーク中心に変わりましたが、中断したり滞ることもなくIFRS導入の支援を現在も継続して行っています。

むしろ、IFRS導入支援当初から掲げており、拙著以前の投稿「IFRS導入プロジェクトで常に意識してほしいこと」でも記した、無駄な作業をなるべく排除する「ゴール逆算方式」でのプロジェクトの進め方は、このような状況にも適していると感じています。

支援先の会社の担当者にはお伝えしていますが、今後特に重要となるIFRS導入にあたってのポイントは、リモートワークで業務を行える体制を構築することは当然の前提として、さらに先のステップ、いかに同じ部署やチームのメンバー、他部署や親子会社の人員、外部の専門家などと連携を取りながらストレスや滞りがなく業務をこなしていけるか、つまり「リモートワーク下における円滑かつ柔軟なコミュニケーション方法の確立と実行」にある、と個人的には思っています。