日本公認会計士協会が、「事業報告等と有価証券報告書の一体開示に含まれる財務諸表に対する監査報告書に関する研究報告」を公表しました

日本公認会計士協会は8月26日、「「事業報告等と有価証券報告書の一体開示に含まれる財務諸表に対する監査報告書に関する研究報告」の公表について」を掲載しました。

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先日の投稿でも触れたように、現行の実務では同様の情報を複数の開示書類として作成・開示しなければならず、経理担当者や監査人らにとって大きな負担になっていると感じています。
(もちろん開示書類の作成を支援する、私のようなコンサルタントにとっても大きな作業負担です)

この点、事業報告等と有価証券報告書の一体的開示をより容易とするため、以前より関係省庁が共同して制度・省庁横断的な検討を行っているとともに、日本公認会計士協会も、開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」(2017年8月22日)を公表し、金融商品取引法と会社法の法定開示の財務情報及び監査の一元化を段階的に進めるための工程を示すものとして検討が行われてきました。

このように、関係省庁や日本公認会計士協会はこれまで何年もかけて一体的開示に向けての検討を重ねてきているものの、結論が出るまでにはまだあと数年、場合によっては10年以上かかるんじゃないかというのが個人的な印象です。

というのも、我が国の有価証券報告書提出会社に適用される財務報告の枠組みは、会計処理に関する基準は金融商品取引法及び会社法いずれも「我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準」が適用されるものの、表示及び開示に関する規則は、金融商品取引法は財務諸表等規則等、会社法は会社計算規則と異なっています。

そのため、特に表示及び開示に関しては両方の規則に配慮して調整・検討を進めていかなければなりません。とはいえ、規則をひとつに統合する(あるいは会社法でも、表示及び開示に関する規則を財務諸表等規則等とする)こともハードルが高く、やるにも調整に膨大な時間を要すると思われます。

そうなると、やっぱり最終的な結論が出るまでにはまだまだ時間がかかりそうだなぁとなるのですが、私が思うに、経理担当者が企業価値向上のために本来やるべき仕事は、同じ情報を複数の開示書類に入力することではないはずです。

例えばですが、思い切って有価証券報告書提出会社は会社法の開示を不要とする(そうすれば計算書類についての監査報告書も不要となり、監査報告書の文例も単一か別個かの検討が省略できる)といった方向での検討も必要なのではないかと思います。