感動は期待の向こうに生まれる

今日、午後一の仕事先の近くでランチをしていると、その会社の担当者から訪問を30分遅らせてほしいという電話があった。

なんとも微妙な時間ができたので、すぐ近くの金融機関まで新型コロナウイルスに係る特別貸付の話を聞きに行くことにした。

入口の横をふと見ると、「予約必須」の文字が。こりゃ無駄足だったか、と思いながら入ってみると、案内の男性が要件を聞いてくれた。

「新型コロナウイルスの特別貸付の件で少しお話を伺いたく。。。」

と話すと、カウンターの向こうにいた一人の女性担当者が、こちらにどうぞと声をかけ案内してくれた。

「金融機関で待ち時間がなかったのは初めてだな」と一人呟きながら席に向かう。

突然の訪問だったが、私より年下に見えたその担当者は、私の会社の業種や所在地などを聞いたあと、手元の資料をこちらに見せながら特別貸付の対象要件や融資限度額など、丁寧に説明してくれた。

書類の重要な箇所にはマーカーを引いてくれ、こちらで書く必要のある箇所は鉛筆でチェックまでしてくれる。

また、私からの質問に即答できないときも、上司に確認したり書類を調べたり、必死に答えようというのが伝わってくる。

「次の仕事があるので、申し訳ないがあと10分ほどしか時間がなくて」と言うと、ちょうどその時間に合わせて説明してくれる。細かすぎず、それでいて大雑把な感じもまったくない。

その担当者は一通り説明をしたあと、「大変申し訳ないが、会社の所在地の関係で当支店では申し込みをしていただくことができず、会社近くの別の支店で手続きをしてもらわないといけない」と申し訳なさそうに伝えてきた。

最初にこちらから自社の所在地を伝えていたので、この支店で取り扱いできないのは分かっていたはずなのに、機械的でない本当に心のこもった説明をしてくれて、さらにはその別の支店の場所が書いた地図をプリントアウトして渡してくれた。

(「おいおい、ここ、リッツ・カールトンかいな。。。」)

まさかこんなホスピタリティを金融機関で感じられるとは思わなかった(失礼。。。)

担当してくれた女性も、ここ数ヶ月で同じ説明を何百人にも飽きるほどしてると思うし、ときには汚い言葉を浴びせられることだってあったかもしれない。透明なアクリル板越しの会話とはいえ感染の恐怖だってあるはず。

そんななかでも、心から相手のことを思って、相手の立場に立って話してくれているのがここまで伝わってくるものかと感動したし、自分もお客様に対して「期待を超える感動を与えられているか」を改めて考え直す機会になった。

なんせ担当の支店が違うので、もうその女性に会うことはないと思う。

一期一会。

ありがとう。