収益認識基準は読みづらい?

上場企業のクライアント先を訪問した際や、収益認識基準セミナーでの参加者からの質問で、「収益認識に関する会計基準が非常に読みづらい」という声を聞きます。

理由はいくつかあると思いますが、まず収益認識基準は、原則主義と言われているIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の定めを基本的にすべて取り入れていることから、抽象的な表現が多くなっています。

また、あらゆる業種の収益取引をカバーしようとしているため、基準の文言が一般的な表現に留まっています。

(いまでこそ、IFRSの導入支援やセミナー講師として収益認識にも数多く触れていますが、数年前に初めてIFRS第15号を読んだときの率直な感想は、「ちょっと何言ってるか分からない。」でした。)

この点、細則主義である日本基準では、金額や%など細かい記載が基準上でも見られることから、日本基準に慣れ親しんでいる方ほど、抽象的かつ一般的表現である収益認識基準に違和感を覚えるのだと思います。

そして、この抽象的かつ一般的表現という特徴から、従来の収益認識時に比べて、自社としての判断や見積もりが必要となる場面が非常に多くなります。

そのため、取引の実態や契約書の内容を詳細かつ網羅的に把握する(場合によっては契約書の文言を見直す)とともに、会社独自の金額基準やルールの設定が求められるでしょう。

加えて、監査法人との協議・承認のもとで会計方針が固まっていくことから、従来にも増して監査法人との円滑なコミュニケーションが可能な社内体制の整備が望ましいと思われます。

先日も、ある会社様から「基準は読み込んだが、導入までのイメージが湧かないので助言がほしい」というお問い合わせをいただきました。

強制適用である2021年4月1日以降開始する会計年度の期首まで、それほど時間は残されていませんので、早めにご対応されることをお勧めします。