「失敗」が切り開いた道

年始の京都新聞朝刊に、2002年にノーベル化学賞を受賞した島津製作所の田中耕一氏のインタビュー記事が掲載されている。

今回の記事には同意する部分が多々あったので、そのなかでも印象に残った箇所を以下に抜粋する。

ー現在地までどんな道をたどったか。
「もがきながら、回り道をしました。(中略)私を成功者と思ってほしくありません。実に多くの失敗を重ね、発想を転換してここまで来たのです。裏返せば、見方を変えれば道は開けるということです。」

私自身も会計士として独立してから10年以上が経過した。

会計士試験に合格する前から描いてきた独立の夢が叶ったにも関わらず、現在までのプロセスはかなりの遠回りかつ苦難の道だった。
(機会があれば投稿で記したいと思ったこともあるが、あまりに辛く苦しい出来事もあったので書けていません。)

しかし、遠回りの道だからこそ会いたい人に会えたり、経験できたことも多かった気がする。

「遠回りだから人生ダメだ、無駄な時間を過ごしてしまった」ではなく、「遠回りしたからこそ人と違った個性が生まれた、大事な人に出会えた、貴重な経験ができた」と見方を変えることが大事だと思う。

ーこれから大学生や社会人となる若い人に何を伝えたいか。
「人とじかに話し合って下さい。生身での雑談がサイエンスには重要です。(中略)「自分は大したことない」と考える若い人は多いのではないでしょうか。でもコミュニケーションの場があれば変わります。こんな時期だからこそ、ヒューマンネットワークを強く意識してほしいと思います。」

本年もまず1月と2月にセミナー講師の仕事が控えているが、セミナーを依頼された際に私がまずお願いするのが、「できれば受講者を入れた対面形式で実施させてほしい」ということである。

セミナーでは講義の内容だけではなく、受講者の行動が変わるきっかけを与えたいと思っている。

そのためには、私自身の熱量や感情が伝えやすく、受講者からも本気度や変化を感じ取れる対面の形式が一番適していると思う。

また、普段は一人で仕事を行うことも多いが、上場企業などから大きなプロジェクトを依頼された際には、周囲の信頼できる専門家に協力をお願いすることがある。

これもヒューマンネットワークを意識して行動しているからこそ、力を貸してくれる仲間に出会えて、一緒に仕事ができているのだと思っている。

発想を転換して見方を変える。人と対面で会って人間関係を変える。そして、その積み重ねによって、自分自身の人生が望んだ方向に変わっていくのではないだろうか。