新リース会計基準、リース期間の判断にIFRS第16号の実務が活きる理由とは?

新リース会計基準の強制適用開始(2027年4月1日以後開始事業年度)まで、残り半年を切りました。読者の皆さま、準備は進んでいますでしょうか。

2か月ほど前の情報になりますが、固定資産・リース管理システムを手がける株式会社プロシップは7月30日に、新リース会計基準への対応状況に関する調査結果を公表しています。

それによると、53.4%の企業が依然として契約調査・方針整理段階にとどまっているとのこと。3月決算会社であれば、2027年4月1日に始まる事業年度の期首から強制適用です。適用まで9か月を切った時点でも、半数を超える企業がまだ方針を固める手前の段階にいることになります。

また、監査法人から延長オプションの行使を考慮したリース期間の設定を求められることが多いと答えた企業も、約6割に達しています。

2019年1月1日以後に開始する事業年度から強制適用となったIFRS第16号「リース」の導入支援に携わってきた私としては、この結果には既視感があります。

当時、最も時間を費やしたのは、影響額の計算やシステム導入ではなく、リース期間をどう判断するかなどの方針決定と理論武装でした。

典型的なのが、2年契約で自動更新される普通借家契約の本社オフィスや店舗です。契約書上は2年でも、多額の内装工事を行い、実際には10年以上使い続けることも珍しくありません。資産除去債務の見積りでは長期間の使用を前提にしながら、リース期間は2年とする。こうした不整合は、監査法人から指摘を受けやすいポイントです。

新リース会計基準のリース期間の考え方は、IFRS第16号と基本的に同じです。IFRS第16号の実務では、契約を一件ずつではなく、オフィス・店舗・倉庫といった類型ごとに判断基準を設け、内装投資額や事業計画上の使用見込期間との整合を根拠として文書化することで、監査法人と合意するなど行ってきました。

何を根拠に判断し、どう文書化すれば監査法人と合意できるかという点では、IFRS第16号の知見をそのまま新リース会計基準にも活用できます。

では、このように対応が遅れている企業が多い現状で、今後どのように進めていくべきか。決算期ごとに整理したいと思います。

12月決算会社は、2028年1月1日に始まる事業年度の期首からの適用で、まだ1年以上の時間があります。

大切なのは順番です。会計方針が決まらないまま契約書の洗い出しやシステム選定を先行させると、網羅性が担保されなかったり、手戻りが生じたりと大きなロスにつながります。

2027年前半までに主要な論点の方針を固めて監査法人と合意し、後半をシステム対応や金額算定等のトライアルに充てるのが理想的だと思います。

一方、3月決算会社は、適用まで残り半年です。

同じ調査では6割以上の企業が期首以降のシステム稼働を許容していますが、システムは後から追いつけても、会計方針は後回しにできません。期首の使用権資産とリース負債の金額は、リース期間の判断で大きく変わるからです。

監査法人との協議が止まっている論点があれば、外部の視点を入れて整理し直すことも一つの選択肢です。

私自身は、IFRS第16号の適用にこれまで数多く携わってきました。IFRS導入支援を進めているクライアントのご担当者様からも新リース会計基準のご相談を多くいただいており、すでに多くの企業に対して助言を行っています。

また、論点ごとにどのような根拠を整理すれば監査法人と合意しやすいかという実務上のノウハウも、経験を通じて蓄積しています。

「吉岡博樹といえばIFRS」というイメージをお持ちの方々も多いと思いますが、新リース会計基準の適用支援も、引き続き受け付けております。支援内容の一例は以下のとおりです。

・12月決算会社向け:論点整理・会計方針の策定から、監査法人との協議、適用初年度の決算・開示までの一貫支援
・3月決算会社向け:リース期間やリースの識別など、監査法人との協議が止まっている論点の整理と協議資料の作成
・作成済みの会計方針書や判断基準のレビュー(セカンドオピニオン)
・IFRS任意適用企業の個別財務諸表、国内子会社への対応
・上場準備会社の上場申請に向けた新リース会計基準の導入支援

なお、私は監査業務を行っていないため、監査法人とは独立した立場で、貴社側に立って論点を整理することができます。

決算期と現在の検討状況(契約の洗い出し中、方針を検討中、監査法人と協議中など)を記載していただければ、より迅速な対応が可能ですので、お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。