収益認識基準における現状の開示の扱い

2021年4月1日以降開始する会計年度の期首から強制適用される収益認識基準について、開示に関する質問をよく受けます。

私が「基準上の本格的な開示の検討はこれからです」と言うと、「えっ?」という顔をされますが、実際に基準上では開示についての記載がほとんどなく、以下の内容が明記されている程度です。

■ 契約資産、契約負債又は債権は、適切な科目をもって貸借対照表に表示する(契約資産と債権を区分表示しない場合は、それぞれの残高を注記する)
■ 以下の注記については、重要な会計方針の注記には含めず、個別の注記として開示する
・企業の主要な事業における主な履行義務の内容
・企業が履行義務を充足する通常の時点(収益を認識する通常の時点)

収益認識基準はIFRSの影響を受けており、そのIFRSが(日本基準のような細則主義ではなく)原則主義だからこういう記載しかないんだ、という理由ではありません。

これは要するに、収益認識基準はIFRS第15号の定めを基本的にすべて取り入れていますが、今後そのIFRS第15号の注記事項の有用性やコスト評価を十分に検討してから、それを踏まえて強制適用時までに収益認識基準の注記事項を検討するということです。

上記の事情もあり、現時点で収益認識基準を早期適用している企業の注記を見ても、上述した記載に留めている印象を受けます。

今後は時間の経過とともに収益認識基準の早期適用企業が増えてきますので、開示についても読者の皆さまに有用な情報があれば、追って投稿したいと思います。