本日の日本経済新聞朝刊によると、東京23区の中小企業のテレワーク実施率が2022年5月の調査で29.7%にまで下がったということです(以下、日本経済新聞より図表を抜粋)。
2020年5月から6月の調査では67.3%まで上昇したものの、現在は新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2020年3月調査時の水準近くまで下がったとのこと。
私も中小企業の顧問先へ訪問したり、東京商工会議所の窓口専門家として中小企業経営者からの相談に日々対応していますが、個人的な実感としても東京23区の中小企業のテレワーク実施率は3割程度(あるいはそれ以下)という印象です。
一方で、記事にあるような一時的には7割近くまで上昇していたという実感はありませんね(これは推測ですが、緊急事態宣言が発令されて出勤が難しくなったために、やむなく自宅で待機していたようなケースも相当数がテレワーク実施率に含まれているのではないでしょうか)。
私は午前中に上場企業に訪問したあと、午後は中小企業に訪問するという日もあるのですが、そのときは余計にテレワーク実施状況の差を感じることが多いです。
帳簿は手書き、見積書は紙にペンで書いたあとFAXで送信、社長の机の周りには付箋やノートの切れ端がずらりと貼ってある。。。もちろんすべての中小企業に該当する話ではありませんが、これでは突然テレワークを実施しろと言われても対応が難しいのは明らかです。
そんな環境下でも、コロナで落ち込んだ売上をなんとか回復させようと努力されている中小企業経営者の方々も多くいらっしゃいます。しかし、売上回復の手法としてテレワークの仕組みを構築しようとする経営者はそこまで多くないでしょう。
ましてや東京のみならず全国的に経営者の高齢化が進んでいる現状では、コロナ前の体制を維持・継続しようとする傾向は強いと思います。
実際に経営者の方々からも、助成金や補助金などいくらお金がもらえても現状の仕組みや業務の流れを大きく変えたくない、少なくとも自分の代はこのままでいきたいという声を多く耳にします。
このような実態を踏まえると、情報通信技術の活用が前提となるテレワーク実施率は、金銭的な支援や専門家によるIT導入支援よりも、後継者への事業承継やM&Aによる経営者交代の進みぐあいの方が比例するのかもしれませんね。