コンサルティングの礎

経営顧問先から某製品の売上拡大について相談を受け、2つの改善案を提示したのが半年ほど前。

一つは効果が出るまでに手間とお金と時間がかかるので後回し。もう一つは簡単かつ即効性があることを説明し、「ほんまにこれで売上拡大するんかいな」という不安は社長らも抱えておられたと思いますが、付き合いも長いことから私を信じて実行してくれました。

で、それから半年が過ぎ、先日結果を聞いたところ、11月の月次売上が改善前の3倍に拡大したということでホッと一安心。

本業に比べてまだ規模が小さく成長途上の事業のため、一つのアクションで大きく売上が増加したということもあると思います。

とはいえ、今回の改善に要したコストはほぼゼロ、かつ効果は今後も継続する可能性が高いことから、社長や他の役員も大変喜んでくれました。

このように、私はIFRS導入や企業価値評価、原価管理、資金繰りなど会計面の支援に加えて、通常の会計士が行わないような、売上拡大のためのマーケティングやブランディング戦略などの構築・立案といった事業面・経営面の支援も積極的に行っています。

これは私自身が高校時代からコンサルティングを行うことを将来像として描いていたことはもちろんですが、様々な事業会社で実務を経験してきたということも大きいと感じています。

私は高校生の頃からアルバイトをしており、初めてのバイト先を探す際には、少しでも時給が高い仕事を最優先で選ぼうとしていました。

父親にその話をした際に、寡黙な父親が言ったことは2つ。

一つは「時給が数十円高くても、それくらいは将来取り返せる。むしろ時給が低くても自分の将来像につながる仕事や、やりがいがあると思える仕事を選びなさい」ということ。そしてもう一つは「その結果、たとえ時給が低い仕事になっても決して手を抜くな」ということでした。

それを踏まえて、私が初めて選んだ仕事は工場での流れ作業でした(なんでや笑)。

ベルトコンベアで流れてくる部品をひたすら組み立てるという仕事を繰り返す日々でしたが、どうすれば効率的にできるか、どうすれば自分の作業がボトルネックにならないかなどを考えながら働いていた記憶があります。

30年ほど前のこととはいえ、時給は550円。当時は最低賃金という言葉も知らず、それを下回る時給で働いていたのかもしれません笑

でもそんなことはどうでも良かった。

なんの経験もない高校生を雇ってくれることのありがたさ。

そして、自分のやった作業が製品の一部となって世の中に出ていく。それを間近で実感できるのが楽しくて嬉しくて仕方なかった。

そんな経験を、製造業、小売業、飲食業、建設業、講師業など様々な仕事先でこなしていくうちに、気づけば大学生の頃には勤務時間が多い月で200時間に迫るほどになっていました。

大学の講義で学んだ内容を、その日の夕方からバイト先で実践です笑

そのうち学生で小売店の店長を任せてもらえるようになり、この頃から売上拡大、陳列方法、在庫補充のタイミングなど改善案を考えるのが自分のなかで習慣となりました。

会計士試験の受験勉強や合格後の経験はもちろんですが、高校時代からの事業会社での実務経験や人とのコミュニケーションがいまの自分の個性を築いており、理論と実務を兼ね備えた私のコンサルティングの礎となっているのは間違いないと思います。

今回のコンサルティングにおいても改善案が結果に繋がったことで、社長らの喜んだ顔とともに、「来年も引き続きうちの面倒を見てください」と言っていただけたのは素直に嬉しかった。

ただ、社長。

まだ手間とお金と時間のかかる、もう一つの改善案が残ってますから笑