約束手形の決済期日を60日以内に短縮へ

以前の投稿「2026年を目処に約束手形が利用廃止へ」で、政府は2024年を目処に手形の支払期日を現行の最大120日から60日に短縮する方針を打ち出している旨を記載しました。

本日の日本経済新聞朝刊に、本年11月を目処に、約束手形の期日を60日以内に短縮する運用を始める旨が記載されています(以下、記事より一部抜粋)。

政府は下請け企業への支払いに使う約束手形の運用をおよそ60年ぶりに改める。これまで商品を納入し手形を発行してから決済までの期限を原則120日としてきたが、60日以内に短縮する。中小企業向けに60日超の手形を発行する企業には政府が下請法に基づき指導する。

私自身、資金繰りのセミナーや日常のコンサルティングでも何度もお伝えしていますように、資金繰りを改善するには「回収は早く、支払いは遅く」が鉄則です。

しかし、手形を交付された企業は現金化までに数ヶ月を要することになるため、回収は必然的に先延ばしになります。

その結果、資金繰りに困窮した企業は資金ショートを回避すべく金融機関から融資を受ける、あるいは手形を割り引いて早期に資金化するなどの方法で対応するのが一般的でした。

そうなると、金利や割引料の支払いが必要となり、更に資金繰りに困窮していくといった負のスパイラルに巻き込まれてしまいます。

約束手形の利用廃止はまだ先になりますが、その前の段階的措置として期日が60日に短縮されること、および短縮後も中小企業向けに60日超の手形を発行する企業に政府の指導が入るということは、そうした負のスパイラルを脱し、資金繰りの改善に一定の実効性が見込めるものと思われます。