M&Aで金額に表れない重要なポイントとは?

本日の京都新聞朝刊に日本電産会長である永守重信氏へのインタビュー記事が掲載されていました。

日本電産といえばM&Aを積極的に行いながら事業を拡大していますが、「成長の原動力であるM&Aの要諦は何でしょうか」というインタビューでの問いに対して、永守会長は「三つある。まず高く買わないこと。次にシナジー(相乗効果)が出るか見極める。最後は社風が合っていることだ」と述べています。

個人的にも全く同意です(3つ目の「社風」について、私は実務では同様の意味で「文化」や「企業風土」という言葉を用いることが多いです)。

企業や事業を買収する際には専門家による事前調査(いわゆるデューデリジェンス)が行われることが一般的です。
この調査において、妥当と考えられる買収金額、シナジーの有無やその程度などは重視されるのですが、一方でこの社風や文化というのは軽視されがちな印象を受けます。

この点、買収自体はゴールではなく、その後の成長やシナジーの発揮こそが重要であり、そのため私が専門家としてM&Aに関与する際にも、この社風や文化は数字には表れないが決して見過ごせない重要なポイントだと考えています。

近年は大企業のみならず、事業承継時の後継者不足を理由に中小企業同士のM&Aも活発化してきました。

M&Aを行うにあたって買収金額やシナジーに着目することも大事ですが、M&Aを真の成功に導くためにはお互いの社風や企業風土が合うかという点にも気を配る必要があることを忘れないでほしいと思います。