昨日発売の日経ビジネスに、これまで何度も仕事をご一緒している公認会計士武田雄治先生の書かれた記事「のれん償却、M&A阻害は真実か」が掲載されています。
IFRSと同様に、日本基準でものれん非償却への変更を求める声が上がっているのは、皆さまもご存知のとおり。
日本基準におけるのれんの定期償却により営業利益が押し下げられることが、スタートアップ企業のM&A実行を阻害していると言われるが、果たして本当にそうなのか。
武田先生は、記事にてこの考えを否定されています。
筆者は約20年、スタートアップ企業の支援をしてきたが、新規株式公開(IPO)前のM&Aを数件しか見たことがない。(中略)のれん償却がスタートアップ企業のM&Aを阻害しているというのは大げさではないか。
また、私自身が「日本基準ののれん定期償却がM&Aの阻害要因だとして、非償却への変更あるいは償却と非償却の選択制を求めるくらいなら、IFRSを任意適用してしまえばよい」と考えているというのは、以前の投稿「のれん償却をめぐる議論と私見 ー 日本基準は定期償却を貫くべきか」で記載しました。
こう述べると、IFRS導入には数億円のコストがかかるのでハードルが高いという反論の声があがります。
これに対しては、「あくまで一部の大企業に限られる話だ」という内容の投稿を「IFRS移行は本当に大変なのか? ー 実務の現場から見る「期間」と「コスト」のリアル」で書いていますので、こちらもぜひ一読してもらえればと思います。
そして、この点は武田先生も記事で明確に書かれています。
スタートアップ企業でコンサル報酬が数億円かかることは絶対にない。
武田節、炸裂です笑
「のれん非償却にしたいが、IFRS適用には億単位のコストがかかる。日本基準を変えるしかない」という先入観を持っている企業の経営者にこそ読んでほしい内容の記事になっていると思います。

