今年もやってきました、IFRS大好きな読者の皆さまのための、最新IFRS適用状況2025年版!
東証から「会計基準の選択に関する基本的な考え方」の分析資料が公表されたのに伴い、2025年6月末時点のIFRS適用状況をまとめました。
まず、2014年6月末以降のIFRS適用会社数(適用決定会社及び適用予定会社を含む)の推移は、以下の通りになります(東証HPより筆者作成)

2025年6月末のIFRS適用会社数(適用決定会社及び適用予定会社を含む)は前年から16社増加し、300社となりました。
私がIFRS導入支援を始めた2011年の適用社数は3社でしたから、14年を経てジャスト100倍!
このなかに私が支援させていただいた会社様が相当数含まれていることを考えると、なんとも感慨深いものがあります。
次に、2025年6月末時点のIFRS適用会社300社を業種別にグラフ化したものが以下になります(東証HPより筆者作成。棒グラフが適用社数(左軸)、折れ線グラフが各業種内の母集団に占める適用会社の割合(右軸)を示している)。

適用業種は33業種中29業種であり、前年から増減なし。
サービス業や情報・通信業、電気機器で適用が多い一方で、銀行業、倉庫・運輸関連、パルプ・紙、海運業の4業種は未だ1社も適用なし。
海運業やパルプ・紙で適用事例がないのは不思議だとここ数年書き続けていますが、今回も適用はありませんでした。
しかし、昨年8月。商船三井がIFRS検討グループを設立し、2026年度以降の早い段階で現在の日本基準からIFRSへの変更を検討している旨の記事が日本海事新聞に掲載されましたので、いよいよ海運業でも本格導入が始まりそうです。
次に、各業種内の母集団に占める適用会社の割合を示した折れ線グラフを見ると、保険業が30%を突破。ゴム製品と医薬品がいずれも25%前後と、およそ4社に1社が適用している状況です。次いで、輸送用機器、鉱業、空運業が20%程度で続きます。
業種によって適用会社数および適用割合に偏りが見られるのもこれまでと同様ですね。
2025年6月末までの1年間は、上記のような適用実績となりました。
この一年の傾向を私見を交えて述べると、2023年と2024年はいずれも前年比10社の増加に留まったものの、今回の2025年では前期比で1.6倍となる16社の増加となりました。
個別に見ても、この一年で帝人やスズキ、ニトリホールディングス、SOMPOホールディングスなど規模の大きい企業から、比較的規模の小さな企業まで幅広く増加したという印象です。
昨年の投稿「最新IFRS適用状況(2024年6月末)」で、今後は日本基準で新リース基準の適用が見込まれているため、「結局、近年の新しい日本基準の大半がIFRSをベースに策定されているのであれば、もうIFRSを適用してしまおう」と考える企業も一定数は存在するはず。なので、今後数年は年間10社から20社程度のペースで増加していくのではないかと書きましたが、結果として予想通りの増加数となりました。
そして、私自身が行っているIFRS導入支援についても、この一年間もこれまでと支援社数は大きく変わっておらず、一度も途切れることなく導入支援を実施している状況です。
今後も任意適用が継続するかぎり、新規の適用社数が大きく減ることはないと思います。
むしろ、上述のように日本基準での新リース基準の導入を契機にIFRS適用を考える会社があること、それに加えて、のれんの償却処理の変更の話が日本基準で巻き起こっているなかで、のれん非償却を望んでいるが不確定かつ方針決定時期も当面先であることから、IFRSを適用しようと考え始める会社も一定数現れるだろうと思っています。
ですので、今後の数年間は、本年と同程度か、あるいはそれを上回るペースで増加しても不思議はないと思います。
実際、のれん処理の変更の話が出たあと、IFRS導入やのれんの処理について、私への問い合わせや相談の件数が増加しています。
私自身がIFRS導入支援に関われる会社数にはかぎりがありますので、いつでも受託できるとは言えないのですが、「ゴール逆算方式」により無駄なコストや作業を省いてIFRS導入を進めたいと考えておられる経営者や担当者の方々は、早めに一度お問い合わせフォームからご連絡いただければと思います。