資金繰り表は「予測」を作ってこそ意味がある

皆さんのなかには、顧問税理士から毎月試算表と一緒に、実績の資金繰り表が提示されていることもあるのではないでしょうか。

たしかに実績の資金繰り表を見ることで、自社の現預金の主な増減要因は何なのかを知ることは重要なことでしょう。

しかし、私は資金繰り表は、実績よりも予測を作成することに意味があると考えています。

会社は赤字でも債務超過でも、それをもって直ちに倒産することはありません。お金が底を尽きたときに倒産します。

つまり、自社では毎月どのような現預金の増減があるのか、季節的な著増減はあるのかを知っておくことは、倒産を未然に防ぐ点からも非常に重要な意味があるといえます。

経営者は本来は意思決定や人的交流など利益拡大に繋がる行動に時間を割くべきだと思います。しかし、会社の業績低迷により資金繰りが悪化すると、どうしても資金繰りに意識が向いてしまう時間が多くなりがちです。

その結果、本業の改善や利益拡大に集中できなくなり、更に業績が低迷し、資金繰りが益々悪化するという負のスパイラルに陥ってしまいます。

この負のスパイラルを断ち切るために、ぜひ予測資金繰り表を作成して資金繰りのことを忘れてみませんか。

予測資金繰り表は、資金繰りのことを忘れるために作成する」ということです。

少なくとも半年先までの予測資金繰り表を作成することで、「今後半年間で資金がショートする可能性はあるのか、あるとすれば何ヶ月先か」を事前に予測することが可能となります。 ショートする可能性が数ヶ月先なら取り得る選択肢も多く、 直前でバタバタすることがなくなります。

そして、経営者は時間を本業に向けることで、会社の業績を拡大させ、資金繰りを改善させる。そうすると、倒産の可能性や新規の借り入れを検討する時間が減るため、より本業に集中できるというスパイラルを回せるようになります。

このような状況に会社をもっていくためには、「おそらく1年程度は資金は持つだろう」というような抽象的な考えではなく、きちんと数字に落とし込むことが望ましいといえるでしょう。

今まで多くの企業から相談を受け支援を行ってきた個人的な印象では、予測資金繰り表を作成している中小企業は全体の1割前後ではないでしょうか。

これだけ資金繰りに困っている会社が多く存在しているにもかかわらずです。

ということは、予測資金繰り表を作成するだけで他の会社よりも経営者が本業に時間を割ける割合が高くなり、競争優位に立てる可能性が高くなるということです。

ぜひ皆さんの会社でも、「予測」の資金繰り表を作成されることをオススメします。

なお、予測資金繰り表に決まったフォーマットはありません。以前の投稿でも記載しましたように、自社にとって使いやすく有用なフォーマットを準備するというのが一番重要なことになります。

当事務所では、個々の会社に適した予測資金繰り表の作成支援や、その後の改善支援も行っております。

作り方が分からない、すでに運用しているが自社に適しているのかチェックしてほしいという経営者や経理担当者の方々は、お気軽にお問い合わせください。