新型コロナウイルスの影響による事業の縮小・停止に伴い、資金繰りが悪化している会社も多いと思います。
資金繰りを改善させ、会社のキャッシュを増やすには、①キャッシュインを増やすか、②キャッシュアウトを減らすしかありません。
国や金融機関の支援として、①の方法には以前の投稿でも取りあげた持続化給付金や特別貸付などが挙げられます。その一方で、②のキャッシュアウトを減らす方法はあまり情報として広まっていない印象を受けます。
たしかに、①はキャッシュが入ってくる方法のため経営者の関心が向きやすいという面もあると思いますが、会社にキャッシュを蓄えるという意味では②も同じレベルで考慮すべきです。
②のキャッシュアウトを減らす方法として国が打ち出している支援に、国税および厚生年金保険料等の納税・納付猶予制度があります。
いずれも「収入が前年同月比で概ね20%以上減少」などの要件は存在するものの、該当すれば延滞金を支払うことなく(最大)1年間は支払いを猶予されますので、会社にキャッシュを貯めておく選択肢の一つとして検討する余地は十分にあると思います。
特に、国税のうち消費税や所得税、また厚生年金保険料等の支払いは会社の利益が出ていなくても発生しますので、これらが猶予対象として含まれていて助かる会社も多いのではないでしょうか。
ちょうど本日、中小企業の役員の方から資金繰り改善について弊社に問い合わせがありましたが、上述のように様々な制度があると、経営者にとってはありがたい反面、どの制度を利用するのが自社にとって望ましく、その結果どのくらいの金額を確保すれば十分と考えられるのかは選択肢が多い点からも非常に悩ましいと思います。
どの制度を優先的に、あるいは組み合わせて使うかは会社の資金繰りの状況に応じて異なりますので、唯一の答えがあるわけではありません。
個人的には、まずはホームページを見て各種制度の内容を理解し、自社では使えないと判断したものは選択肢から消す。読んでも内容が分かりにくいものは窓口に問い合わせて、使えそうな制度だけを整理する。そのうえで、申請にあたっての作業負担が重くない、申請が通る可能性が高い、キャッシュ増加の効果発現までの期間が短いなどの施策を優先して、申請を検討するのが望ましいと思います。