有報への開示一本化は進むのか?監査人の7割が支持

今朝の日経新聞に「会社法・金商法の開示一本化、監査人の7割支持」という記事が掲載されています(以下、記事より一部抜粋)

会社法の事業報告・計算書類と金商法の有価証券報告書という2種類の開示について、監査チームのうち70.5%が会社法を改正して有報に一本化することを支持した。
会社法改正による一本化を支持した回答の内訳では一本化を義務とする「強制適用」と「段階的強制適用」が合計で56.3%あり、企業が選べる「任意適用」(14.2%)より多かった。強制適用の方が開示書類を比べやすくなるとの意見が出ていた。
開示制度の見直しに伴い監査も一本化された場合に期待されることについては「監査の効率化」との回答が78.6%に上った。「監査時間の平準化」(45.3%)、「監査品質の向上」(33.3%)との意見も多かった。

現在の制度では、会社法と金商法で重複する情報を別々の書類として作成する必要があります。

そのため、実務の現場では、重複する情報の作成、整合性のチェック、表現の調整などに相当な時間がかかっています。

この点、有価証券報告書に一本化することができれば、単に作成書類の数が減るだけではなく、同じような情報を複数の書類に記載する二重作業や、書類間の不整合のリスクを減らすことができます。

その結果として、作成者側および監査人側の双方にとって、より効率的で質の高い開示につながるでしょう。

記事では、監査人の約7割が一本化を支持しているとされており、逆にいえば、約3割は支持していないように読めます。

この点について補足ですが、一次情報である日本公認会計士協会が公表した「開示・監査一本化に関する会員向けアンケート調査結果」を読むと、70.5%が一本化に賛成しているのは事実であるものの、残りの3割が反対しているわけではなく、現行法を維持が15.1%、わからないが14.4%という回答になっています。

わからないはさておき(専門家として自分の意見を持てよと思いますが)、現行法を維持の15.1%の人たちも、一本化には賛成しかねるが、現行の法制度下における一体的開示を望んでいる人たちが多いようです。つまり、会社法と金商法の各開示制度のもとで開示項目を可能なかぎり調整することを望んでおり、ここから見ても、現行の制度には問題があると感じている人たちが大半なのでしょう。

私自身は、以前の投稿「有報と事業報告の一本化が現実に?ついに制度改正の議論開始へ!」でも書いたとおり、開示書類の作成支援に携わる立場として、事業報告等と有報の一本化には賛成の立場です。

一体的開示とは言わず、有報に一本化してしまえばよいと思っています(「事業報告って誰がじっくり読むねん」と。)

また、記事では任意適用よりも、強制適用または段階的強制適用を支持する意見のほうが多かったとされています。

この点、私が導入支援を行っているIFRSは、日本では任意適用とされています。IFRSは、企業によって導入のメリットが大きい場合もあれば、作業負担や導入コストのほうが上回る場合もありますので、各企業が自社の状況に応じて選択できる任意適用のほうが望ましいと考えています。

これに対して、有報への一本化については、会社法上の手続きや株主総会との関係を丁寧に整理する必要があるものの、開示実務や監査の効率化というメリットを享受できるケースが圧倒的多数と思われることから、個人的には最初から強制適用を前提に進めるほうが望ましいと考えています。

今後、会社法と金融商品取引法の開示一本化に関する議論がどのように具体化していくのか、注目したいと思います。