公認会計士試験に英語導入へ ー IFRS実務に詳しい会計士の所感

公認会計士・監査審査会は昨日、公認会計士試験において、英語による出題を行うことを公表しました。詳細はこちらから

令和9年の第Ⅰ回短答式試験より開始されるようです(以下、公表資料より一部抜粋)。

公認会計士の業務については、IFRS 適用企業の拡大やグループ監査への対応等により英語との関わりが拡大しており、それに伴い公認会計士には一定の英語の能力が求められるようになってきています。このような状況を踏まえ、公認会計士試験において、令和9年第Ⅰ回短答式試験より、以下の考え方に基づき英語による出題を行います。

英語による出題は、短答式試験の財務会計論・管理会計論・監査論の3科目とされ、英語による出題の規模感(配点)は、短答式試験の総点数の1割程度とするとのこと。

実際に私がコンサルティングをしていると、特に海外子会社を有する上場企業やグローバルに事業展開する企業から英語の資料が提出されることはあります。

とはいえ、公認会計士試験で英語の出題を行うことまでは不要ではないかと思います。

公認会計士試験としては、英語力に左右されず、会計士として求められる財務・会計を中心とした知識や読解力、思考力を問うべきだと思いますし、英語が必要なら別の英語力を問う試験の勉強をすればいいのではないでしょうか。

IFRS適用企業の拡大も英語導入の一つの要因だということで、これまで数十社のIFRS導入に関与してきた私の立場から述べると、英語力のせいでプロジェクトが遅延・中断したというケースは特にありません(ちなみに、私の英語力は突出したレベルにはなく、内容が同じであれば間違いなく日本語の資料を選ぶ人間です)。

たしかに日本語訳のIFRS基準書を読むと、単語の直訳で普段聞かない日本語のためニュアンスが分かりづらいなと感じることはあります。その際は、その箇所を中心に原文にあたれば解決します。

公表されたサンプル問題からはそこまで難しい英語とは思いませんが、会計士受験生やこれから会計士を目指そうと考えている方、そして受験予備校には大きな影響を及ぼすでしょう。

今回の件をきっかけに、公認会計士を目指すのをあきらめるという人が出てこないことを望みます。