3月13日からマスクの着用は個人の判断が基本となるなど、徐々にコロナ前の日常に戻る兆しが見え始めた一方、まだまだ資金的な不安を抱えている会社が多いこともあってか、昨年から本年にかけて資金管理のセミナーを行う機会が増えてきています。
セミナーでは、資金管理の必要性や資金繰りの改善方法などと併せて、資金繰り表の作成方法や作成時の留意点についても話します。
また、クライアントのお客様には、予測資金繰り表のフォーマットをその会社に合うようにカスタマイズしたうえで納品もしてきました。
資金繰り表作成に関する相談を受けた会社まで含めると、百社を大きく超えていると思います。
とはいえ、納品後の運用を見据えて、実際に資金繰りの予測数値を入力するのは会社の経理担当者に行ってもらうことも多く、私自身はフォーマットのカスタマイズや助言、指導が中心でした。
これまでがむしゃらに働いてきて、資金繰りに関するノウハウも積み上がってきましたし、セミナー講師も行っている手前、「私がフォーマットを作成し、経営者らにヒアリングしながら予測資金繰り表の数値入力まで行ったらどのくらいの精度のものができあがるんだろう」という期待と不安は日々大きくなっていました。
そんなとき、2年ほど前から関与している会社の経営者様から、予測資金繰り表の作成を依頼されました。その会社は数十名の従業員を抱えているものの経理関係のノウハウに精通した人がおらず、また本業も忙しいことから数値の入力を行えるものがいません。
ちょうど良い機会なので、私自身が資金繰り表のフォーマット作成から、予測数値の入力まで行うことにしました。
そして先日、顧問税理士の先生から2月の実績数値を示す試算表が送られてきたので、早速2月末の実際の現預金残高が私の作成した予測数値とどの程度近い数字になってるかを確認してみました。
ドキドキでございます。大きく乖離していたら目も当てられません。
その結果は。。。誤差0.087%!
これは、仮に月末の現預金残高を1,000,000円と予測していた場合、実際の残高は1,000,870円だったという値です。
誤差の小ささに一番驚いたのは、経営者でも金融機関でもなく、私自身だと思います笑
予測資金繰り表を作成していない会社になぜ作成しないのか理由を聞くと、よく言われるのが「売上も仕入も取引先次第だし、外部環境の動向など将来のことは分からないので、作成してもそのとおりにはならない」ということ。
たしかにドンピシャで当てるのは難しいと思いますし、今回の私のケースも正直なところ出来過ぎでしょう。
ただ、私がセミナーなどで話すのは「予測資金繰り表の作成を継続して行っていると、3年から5年後には大幅に予測精度が向上している」ということです。
予測資金繰り表を作成して実績の数値と比較する。乖離が生じている箇所については、乖離が生じた理由を分析して、次回以降の予測数値に反映させる。
これを繰り返すことで、予測精度は間違いなく向上していきます。
そして何より、経営者がすべき重要な仕事は「将来を予測したうえで意思決定を行うこと」ではないでしょうか。
将来が読めないと言うことは、経営者としての重要な仕事を自ら放棄しているのと同じだと思います。
最初から完璧を目指すのではなく、徐々に精度を上げていければ良いくらいの気持ちで、予測資金繰り表の作成に取り組まれてみることをお勧めします。