金融庁から2月17日、「監査上の主要な検討事項(KAM)」の更なる実務の定着と浸透を図ることを目的として、「監査上の主要な検討事項(KAM)の特徴的な事例と記載のポイント2022」が公表されました。
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KAMは、2018年7月に公表された「監査基準の改訂に関する意見書」により日本の監査実務に導入されました。
その後、2021年3月期から一部を除く金融商品取引法監査が適用される会社に対して本適用され、監査報告書への記載が求められています。
まだ本適用後の期間も短く、今回の公表内容は今後の改善事項や課題をまとめた内容となっているという印象です。
KAMに関する勉強会メンバーの主なコメントとしては、「監査人とのコミュニケーションが密になった」、「有事・平時の両方で有用だ」という前向きな意見もあるようです。
その一方、「現在のわが国のKAMに関して、利用者にとっての有用性はどの程度だと思われますか?0(全く有用ではない)から6(非常に有用である)までのいずれかを選んでご回答ください。」という質問事項に対して、監査人自身が平均値で3.7という回答となっており、なんとも微妙なコメントしづらい結果になっています。
また、「これまでに、KAMを読んだことがありますか?」というどストレートな質問事項に対して、アナリストの64.1%が「読んだことはない」という遠慮のない回答をしていることにはシュールさを感じずにはいられません。。。
まだまだ浸透途上ということなのかもしれませんが、今後も気候変動に関する開示など、開示面の充実や拡大の傾向が強まっていくなかで、アナリストや監査人自身もその効果に疑問を抱いているような情報提供については、その必要性の再検討を行うなども求められるでしょう。
やみくもに開示のボリュームを増やすことは、実務の作業負担が増大することはもちろん、本当に伝えるべき重要な情報が埋もれてしまうことに繋がります。
今後の開示事項や内容の検討にあたっても、量的な充実のみではなく、いかに読み手に重要な重要な情報を端的に伝えるかという質的な底上げ・充実を図っていく必要があると思います。