金融庁から1月31日、「記述情報の開示の好事例集2022」が公表されました。
金融庁は、投資家と企業との建設的な対話に資する充実した企業情報の開示を促すため、「記述情報の開示の好事例集」を公表しています。
今回、新たに「サステナビリティ情報」並びに有価証券報告書の主要項目である「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「事業等のリスク」及び「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(MD&A)」に関する開示の好事例を取りまとめた「記述情報の開示の好事例集2022」が公表されました。
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まず、以下の図のように各社の好事例集の前に参考として、「改正内閣府令の概要及び新たに求められる記載項目の参考となる開示例」が掲載されており、有価証券報告書で新たに充実が図られる、あるいは新設される内容が書かれています。
そして、その記載項目ごとに開示例が掲載されているという流れになってますので、有価証券報告書の作成担当者にとっては関心のある項目の開示例にストレスなくたどり着くことができ、構成的にも非常に見やすい資料となっていると思います。
ざっと好事例集を読んで、個人的には各社ともに文章だけでなく図やグラフなどを駆使して、読み手がビジュアル的に理解しやすいよう工夫されている、また、同業他社の開示事例に囚われず、自社が主張したい情報は何かを明確にしたうえで掲載しているという印象を受けました。
カゴメ株式会社や大和ハウス工業株式会社は有価証券報告書に顔写真を掲載するなど、いままで見た記憶がないような開示を行っている企業もありますね笑
このように、開示はいま大きな転換期を迎えていると思います。
有価証券報告書のなかでも、経理の状況の財務諸表はしっかり読むが、その他は流す程度もしくは読まないという方もおられると思います(むしろこっちが多数派か!?)。
しかし、財務諸表は有価証券報告書全体のわずか数%を占める程度であり、むしろその大半は文章を主とした開示です。
今後はこれまでのような横並び的な開示ではなく、各社の独自色を前面に出した開示内容の見直し・充実というのが、企業の個性や考えを深く理解してもらうためにより重要になってくるのではないでしょうか。
開示内容、ボリューム、ビジュアル化の方法などどのように個性を主張するか、どのように読み手にわかりやすく伝えるか、担当者の腕の見せどころだと思います。