やっと、やっと、やっと。。。
有価証券報告書と事業報告を有価証券報告書に一本化することについて、ついに正式な議論が始まるようです。本日の日本経済新聞一面に、その内容が掲載されています(以下、記事より一部抜粋)
法務省と金融庁は、上場企業が開示する有価証券報告書と事業報告について、有報に一本化することを企業に認める方針だ。金融商品取引法に基づく有報に必要な情報を追加すれば、会社法に基づく事業報告などの作成を不要にする。
(中略)2025年度中にも方向性を示す。法務省が会社法改正案の国会提出を目指す。早ければ、28年にも企業は有報への一本化を選べるようになる。
これまで何年にもわたり、投稿を通じて「有価証券報告書と事業報告を一本化すべきだ」という主張を繰り返し発信してきました。そして今回、ついに具体的な制度改正を見据えた動きが表に出てきました。
私自身も長年、開示資料の作成支援に携わっていますが、有報と事業報告の重複開示は、現場にとって極めて大きな負担です。
開示制度が複雑化し、開示ボリュームも増加傾向にあるなかで、同じ情報を2つの書類に入力し、チェックし、修正する。この作業にどれほどの時間と労力が費やされてきたか。こんな作業を財務諸表利用者は望んでいるのか。誰の役に立つ仕事なのか。
心が折れそうになりながらやってきた重複開示から解放され、一本化が実現すれば、その分の時間を企業価値向上につながる議論や開示内容の質の向上に充てることができます。リフレッシュの時間に充てても構わない。
とはいえ、正直に言えば、投稿し続けても省庁の垣根を越えた制度改正はそう簡単には進まないだろうとも思っていました。
それでも投稿を続けてきたのは、上場企業の実務担当者や投稿を読んでくれている読者の方々から、「現場の声を代弁してくれてありがたい」「ぜひ、これからも一本化の発信を続けてほしい」といった言葉を数多くいただいてきたからです。
私一人の声が何かを動かしたとは思っていません。
しかし、四半期報告書制度の廃止に続き、今回の有価証券報告書への一本化が現実味を帯びてきたことを見ると、小さな声でも上げ続けることには意味があるのだと改めて感じています。
議論はまだこれからです。
一本化に向けて動き出してくれた省庁の方々に感謝するとともに、この流れが後戻りすることなく、現場の負担軽減と企業価値の向上につながる制度改正として実現することを、心から期待しています。

