企業の私的整理、いよいよ債権者の多数決の同意に変更か!?

本日の日本経済新聞朝刊に、「企業の私的整理、債権者の多数決で」という記事が掲載されています(以下、記事より一部抜粋)

経済産業省は経営難に陥った企業の債務を債権者の多数決で減免する新たな私的整理の法制度を検討する。足元では企業の倒産が増え、今後の金利上昇で資金繰りが悪化する企業が増える可能性がある。第三者機関が手続きを監督して公平に債務を整理できる仕組みにし、早期の業態転換や新分野への展開など事業再生を促す。
(中略)
事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)をはじめとする私的整理は全ての債権者の同意がなければ債権の放棄などができず、再生の見込みがあっても時間がかかる点が課題だった。

ということで、なんと私的整理が債権者の多数決で可能になるのか!と思われた方もいらっしゃるかもしれません。

この点、同様の議論は以前にも行われていまして、当時の2022年10月に「私的整理、全債権者の同意不要に」についての私見」というテーマで私も投稿しております。

なぜ現状は全行合意なのか、多数決のメリットとデメリット、債権者の公平性、多数決時の留意点など、2年半程度が経過した今でも、当時の投稿に記載した私自身の私的整理に対する考え方などは変わっていません。

多くの再生案件に関与してきた私自身の経験に基づいて発信した内容になりますので、興味のある方はぜひ当時の記事を読んでいただければと思います。

なお、今回の多数決化について、早ければ2025年の通常国会に法案の提出を目指すようです。

個人的には多数決にするといっても様々な検討課題があると思っています。そのため、明日に初回会合で来年の法案提出とはややタイトな気もしますが、過去にも同じような議論がなされていたり、イギリスやドイツなど海外主要国のなかにはすでに多数決原理を採用している国も見られることなどを踏まえると、課題の解決策にも概ね目処が立っているということなのでしょう。

座長を東京大名誉教授の神田秀樹氏が務めるということで、いよいよ多数決への変更の本気さをビシビシと感じます。