規制改革推進会議は5月28日、のれん会計処理の在り方の検討を含めた「規制改革推進に関する答申(案)」を公表しました。
5月27日ののれん償却不要という日本経済新聞の記事については、同じ日に「のれん償却処理からの変更を、ASBJに要請へ」で投稿しました。今朝の日本経済新聞には、この「規制改革推進に関する答申(案)」に関する記事が掲載されています(以下、記事より一部抜粋)。
政府の規制改革推進会議が28日とりまとめた答申に、M&Aで生じる「のれん」をどう費用処理すべきか検討するよう盛り込まれた。目先の負担が軽くなればM&Aが活発になる半面、環境急変で巨額損失が生じる恐れもある。長年議論となってきた課題で、見直しには慎重論も根強い。
(中略)
今回の答申は直前で内容が修正された。もともとはASBJにのれんの「非償却」または「非償却か償却の選択制」への基準改正を要請する内容で、霞が関内の調整も終わっていた。だが民間組織であるASBJは基準策定団体として高い独立性が求められる。政府が特定の会計処理について要請することはASBJの独立性侵害につながるとの批判を恐れ、答申前日に変更した。
私が上述の投稿で書いた内容に回答してくれたとまでは思いませんが、「償却しない会計処理の導入には慎重論がかねて根強い」として、IFRSや米国基準を採用する欧米の主要企業ではのれん非償却のためBSに多額ののれんが計上されていることや、それに伴う巨額減損が一気に計上される恐れがある可能性があることが記載されています。
具体的に図まで添付して、日経新聞側が私の投稿の根拠を示してくれている笑

一昨日の新聞記事だと、もうのれんの償却不要が決まったかのような表題だったり、のれん償却費を「無駄な費用」だと書いたり、やや強い書きぶりでした。さすがにいきすぎたという思いがあったのか、今朝の記事は少し落ち着いた内容になりました。
そして、別の投稿「「のれん償却は成長の足かせ」という記事と今後の方向性への私見」で、のれんを「非償却」または「非償却か償却の選択制」にする場合の問題点などを記載した点に関しても、今回の規制改革推進に関する答申(案) を読むに、要請の文章から「非償却」または「非償却か償却の選択制」にするという文言も削除されているようです。
ここ数日の、のれんに関する新聞記事や要請内容にはさすがに違和感を覚えていましたが、やはり今回のASBJに対する要請は少々やり過ぎでしたかね。