経団連から「有価証券報告書の株主総会前開示について」が公表されました

日本経済団体連合会(以下、経団連という)は5月13日、「有価証券報告書の株主総会前開示について」として、政府・自民党への提言を公表しました。詳細はこちらから

経団連は次の6つについて要請しています。

①会社法における有価証券報告書の位置づけ明確化
②真に有用で効率的な開示に向けた検討
③株主総会開催日の後ろ倒しに関する環境整備
④株主総会の決議事項の見直し
⑤効果検証の必要性
⑥実現に向けて

このうち、個人的に重要かつ緊急性の高い要請と考えるのは、やはり①と③です。

まず①で、有価証券報告書の提出会社においては、会社法上の開示は不要とすることはもとより、一切の書面交付の不要化・電子化、単体決算開示の廃止、決算短信やコーポレートガバナンス報告書などの取引所規則による開示書類との合理化等について、横断的に検討を進めるべきであるとしています。

また、③で有価証券報告書の提出は、本来、株主総会の3週間以上前に行うことが最も望ましいとし、これを実現するためには、今後、近い将来に有価証券報告書においてサステナビリティ情報の開示や第三者による保証が導入されることを踏まえれば、株主総会の開催日を後ろ倒しすることが不可欠となるとしています。

金商法と会社法で要求される法定開示資料の一元化や、株主総会の後ろ倒しなど、私の本年3月の投稿「金融担当大臣から全上場企業に対し、有価証券報告書の提出前倒しを要請へ」で記載した考えと重複する箇所が多いので、ぜひそちらの投稿も一読してみてください。

私見を簡潔にまとめると、ただでさえ気候変動など開示内容の拡充が図られているなかで、3週間や1ヶ月の有価証券報告書の提出前倒しというのは、現状の開示内容やスケジュールでは厳しい。これを達成するには、有報や計算書類といった法定開示資料の一元化や、開示内容の簡素化・省略化、株主総会の後ろ倒しなど、制度面の抜本的な改革が並行して検討されるべきだというのが私の考えです。

今回の要請にあるように、諸外国と同じく単体決算開示を廃止し、連結決算のみの開示とすることも実務負担の軽減の観点から有用といえるでしょう。

もう要請や検討といった話はお腹いっぱいですので笑、開示内容の拡充などを図るのであれば、それとバランスを取るべく、上述のような開示負担の軽減についても、一日も早く実現してほしいものです。