金融庁は本日、国内の全上場企業に対し、有価証券報告書を株主総会の開催日よりも前に提出・開示するよう要請する旨の資料を公表しました(以下、当該資料より一部抜粋)
有価証券報告書の提出は、本来、株主総会の3週間以上前に行うことが最も望ましいと考えられますが、多くの上場会社がただちにこうした対応を行うことには実務上の課題も存在すると承知しており、現在、金融庁では、官民の関係者と連携し、企業負担の合理的な軽減策を含め、課題の洗い出しや対応策の検討等を行っているところです。
他方、足元の有価証券報告書の提出状況を見ると、株主総会同日又は数日以内の提出が9割以上を占めていることから、現状でも、株主総会の前日ないし数日前に提出することには日程上の大きな支障はないのではないかと考えられます。これまで株主総会前の開示に取り組んでいない上場会社におかれましては、有価証券報告書を株主総会前の望ましい時期に開示する取組を進めるための第一歩として、今年から、まずは有価証券報告書を株主総会の前日ないし数日前に提出することをご検討いただくようお願いいたします。
機関投資家からは有報全体を見るには総会の3週間前から1カ月前の開示が望ましいとの意見が多いものの、今回の要請では今年から株主総会の前日ないし数日前の提出を企業に求めるとのこと。
総会前に有報を開示している企業なんてあるのかという印象を私も持っていましたが、その割合は実に1.5%に留まるようですね。
私自身も開示資料の作成支援を行っており、4月からは当該業務の繁忙期を迎えます(企業の担当者の皆さん、お互い体調に気をつけて頑張りましょう)。
開示の実務に関わっている立場でいうと、数日の前倒しであれば作業効率化や社内規定の変更、(あまりこの言葉を使いたくないが)担当者の努力などで、なんとかクリアできるかもしれません。
しかし、ただでさえ気候変動など開示内容の拡充が図られているなかで、3週間や1ヶ月の前倒しというのは現状の開示内容やスケジュールではまず無理かと。企業努力の範疇を超えています。
これを達成するには、有報や計算書類といった法定開示資料の一元化や、開示内容の簡素化・省略化、株主総会の後ろ倒しなど、制度面の抜本的な改革が並行して検討されるべきだと思います。
以前の他の投稿でも書いているように、特に法定開示資料の一元化や開示内容の簡素化・省力化は、有報提出を前倒しするか否かに関係なく早期に検討・実現してほしい。そして、担当者の作業負担の軽減によって空いた時間を、企業価値向上(もしくは余暇でも良い)に充てるべきではないでしょうか。