企業会計基準委員会(ASBJ)は9月13日、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等を公表しました。詳細はこちらから。
当該基準にかかる公開草案が公表されたのが昨年の5月ですから、1年半近くかかっての会計基準公表となります。
公開草案が出され、それに対する実務者等からのコメントを私も見てきましたが、リース基準は実務に大きな影響を与えることもあってかコメントの数自体が膨大でした。
今回の基準の公表まで時間がかかりすぎだという意見もあるようですが、私自身はコメント一つひとつを丁寧に検討して、よくこの期間で基準の公表にまで辿り着いたなという印象です。
関係者の皆さまにとっては多方面への配慮が求められるなかでの対応で、かなり苦労されたと思います。
一方、IFRS支援業務ですでにリース基準の導入を進めている私にとっての最大の関心事は、リース会計基準がIFRS第16号「リース」をベースに開発されることは前提として、(特に借手の処理について)どこまで日本固有の実務に配慮した内容を盛り込んでくるかという点でした。
結果として、この点に関しては、企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」の関連資料である「公表にあたって」において、以下のような記述が見られます。
IFRS第16号のすべての定めを取り入れるのではなく、主要な定めの内容のみを取り入れることにより、簡素で利便性が高く、かつ、IFRSを任意適用して連結財務諸表を作成している企業がIFRS第16号の定めを個別財務諸表に用いても、基本的に修正が不要となる会計基準とする。
そのうえで、国際的な比較可能性を大きく損なわせない範囲で代替的な取扱いを定める、又は、経過的な措置を定めるなど、実務に配慮した方策を検討する
つまり、リースに関する会計基準はIFRSのすべてを取り入れているわけではないが、IFRS適用企業が個別財務諸表に用いてもIFRS修正不要で、しかも国際的な比較可能性を担保した基準だと。
まさに、言うは易く行うは難しですね。本当にお疲れ様でした。
適用時期は、2027年4月1日以降開始する連結会計年度及び事業年度の期首からとなります(2025年4月1日以降開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用も可能)。
リースはIFRS第16号でも非常に論点が多く、監査法人との協議に時間を要する基準です。早めの対応をオススメします。
なお、IFRS第16号を適用した際の苦労話や、監査法人から突っ込まれやすいポイント、効率的な適用のコツなど聞いてみたいという企業の担当者の方は、お気軽にお問い合わせフォームからご連絡ください。