1月5日の日本経済新聞朝刊に、日本の会計基準をつくる企業会計基準委員会(ASBJ)にて検討中の新リース会計基準の適用時期が2027年度以降になる見通しだという記事が掲載されています(以下、記事より一部抜粋)
店舗などを借りて使うリース取引を資産と負債に計上するよう求める内容で26年度からの適用を見込んでいたが影響が大きい小売業界などから異論が噴出。
(中略)
リースは資産を抱えず不動産や設備などを使えるのが利用企業のメリットだった。新基準は原則すべてのリース取引を利用する企業の貸借対照表に計上するのが柱で、不動産の賃貸借取引なども含まれる見通しだ。
一方、ASBJからのリース基準に関するニュースリリースでは、昨年12月28日の「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」において、現在、公開草案に寄せられたコメントへの対応を検討している旨が記載されているのみです。よって、今回の記事はおそらくASBJの公表物からの引用ではなく、日本経済新聞の独自取材等によるものなのでしょう。
私はIFRS導入支援業務において、日本基準より一足早くリース基準の適用支援を進めています。ですので、基準の適用が企業の財務諸表に与える影響や、社内担当者の作業負担の増加程度、監査法人からの指摘内容なども概ね把握しています。
財務諸表の数値面だけ見れば、たしかにオンバランスされることでROAの悪化などのマイナス面はあるのですが、それに加えて新リース基準を適用するにあたって、経理担当者を主とした作業負担の増加も無視できません。
先般、強制適用となったのが記憶に新しい収益認識基準と同様に、新リース基準がIFRS第16号「リース」と概ね同一の内容になることを前提として書くと、リース資産の適用範囲の検討、少額リース資産の簡便的な扱いの排除に伴う新たな社内基準の設定、リース資産ごとの延長・解約オプションを踏まえた耐用年数の決定、資産計上に伴う個々のリース資産の管理方法の検討など、適用にあたっての作業負担は収益認識基準に負けず劣らず、非常に大きなものとなることが想定されます。
新しいリース基準自体はIFRSをベースに開発するとしても、リース取引を利用している国内企業が多く、金額的な影響が大きいということもあって、どこまで日本特有の事情を基準に反映させるか、基準の設定主体側としても非常に悩ましいところだと思います。
なお、ここからはひとりごとですが、日本におけるリース関連の基準等の制定・適用は毎度すんなりいきませんね。
過去を見ても、他の基準に比べて業界の反発が大きいこともあってか、審議や適用までに他の基準よりも時間を要している印象を受けます。
このような経緯もあって、私が関与している上場企業の担当者様には、2026年の新リース基準の適用はおそらく難しいという話をしてきました。さぁ果たして、2027年の適用は可能なのでしょうか。